抗体医薬
Antibody therapeutics
詳細
概要
抗体医薬は、生体内の抗体の性質を利用した医薬品です。疾患の原因となる標的分子(抗原)を選択的に認識して結合し、薬理効果を発揮します。MabGenesisの説明では、治療用のモノクローナル抗体を中心に開発され、ヒト由来の配列だけでできた「完全ヒト抗体」が主流になりつつあるとされています。
仕組みと要点
抗体医薬の開発では、狙った標的にだけ結合する抗体をどう得るかが出発点になります。その方法の一つがファージディスプレイで、ウイルスの一種であるファージの表面に多様な抗体を提示させたライブラリーから、標的に結合するものを選び出します。MabGenesisは、イヌ・ネコ・ヒト向けのファージディスプレイ抗体ライブラリー「MOURA Library」を持ち、従来技術では取得が難しい高品質な抗体を提供するとしています。
もう一つの課題が標的の選び方です。遠友ファーマは、疾患に伴って変化する糖鎖に着目し、糖ペプチドを新たな標的クラスとして、選択性の高い抗体を継続的に創出することをめざしています。糖鎖解析技術と、抗原として提示する方法(抗原提示法)が同社の基盤技術で、キャッチコピーは「糖鎖変化を捉える新しい抗体医薬」です。
市場での位置づけ
MabGenesisの資料では、抗体医薬の市場は2020年に14兆円を超えると予測されたとされ、同社は、ヒト用の抗体薬が2023年に35兆円、動物用の抗体薬がグローバルで2032年に1兆円の規模になるとの見方を示しています。これらは同社が示す数字で、公的機関の統計ではありません。事業モデルとしては、共同研究、創薬パイプライン、技術ライセンスの3つが挙げられ、動物用ではCeva、MSDアニマルヘルス、Virbac、共立製薬、日本曹達などが事業パートナーとして紹介されています。
スタートアップの取り組み
株式会社MabGenesisは、宮崎大学と藤田医科大学の技術に基づくファージディスプレイ抗体技術で、ヒトとペット向けのモノクローナル抗体医薬を開発しています。ヒト向けでは、がんや人獣共通感染症などアンメットメディカルニーズの高い領域に注力しています。動物向けでは、イヌ・ネコ用の抗体ライブラリーを完成させ、さまざまな疾患領域で抗体の取得を進めています。本社は宮崎県で、犬猫の自己免疫疾患やがんなどの慢性疾患を重点分野としています。
遠友ファーマは、北海道大学の西村紳一郎教授の研究成果をもとに設立された創薬ベンチャーで、疾患特異的な糖ペプチドを創薬標的とする抗体医薬品を開発しています。同社の公式サイトによると、2025年7月に成長型中小企業等研究開発支援事業に採択され、2025年1月には第三者割当増資を実施しました。