バイオものづくり
Biomanufacturing
詳細
概要
バイオものづくりは、微生物などの生き物の働きを使って物質を生産する取組です。NEDOは、バイオ技術を使って物質を生産する「バイオものづくり」製品の社会実装を進め、化石資源を原料とする製造プロセスを置き換えて、日本の社会課題の解決につなげることを狙いとして、「バイオものづくり革命推進事業」を実施しています。
仕組みと支援の枠組み
同事業は、未利用資源の収集・原料化、物質生産に使う微生物の改変、生産・分離・精製・加工、社会実装に必要な制度や標準化まで、バリューチェーン構築に必要な技術開発と実証を一貫して支援します。研究開発項目は次の5つです。
- 未利用資源の収集・資源化
- 産業用微生物等の開発・育種とプラットフォーム技術の高度化
- 目的物質の製造技術の開発・実証(商用スケールの大量培養などのスケールアップ)
- 分離・精製・加工技術の開発・実証
- 社会実装のための評価手法等の開発(ライフサイクルアセスメント〈LCA〉の確立など)
開発目標として、3と4では製造コストを「現行製品の1.2倍以下」に下げる技術の確立を、2では代替候補製品の1.2倍以下で生産できる微生物などの開発を目指します。事業期間は2022年度から2032年度(予定)で、テーマごとにステージゲート審査の時期を設定します。2025年8月6日発表の第3回公募では新たに5件が採択され、これまでの採択は計14件です。
産業での位置づけと課題
Gel Coat Biomaterialsの発表では、酵素や抗体などの生体分子は非常に不安定で、温度管理や輸送条件に厳しい制約があり、そのことがコスト増加や実用化の難しさにつながっているとされています。微生物や酵素の探索、安定化、量産化の各段階に、それぞれ技術課題があります。
スタートアップの取り組み
bitBiome株式会社は、微生物ゲノムデータベースを活用した酵素の探索・改変プラットフォームを提供しています。花王がNEDOの同事業に採択されたことを受けて共同実施契約を結び、バイオマス資源向けの次世代糖化酵素の研究・開発の一部を担当します。花王の酵素技術・生産技術に、bitBiomeのデータベース「bit-GEM」(25億超の配列)と酵素探索・設計の知見を組み合わせます(発表、2026年2月)。また、株式会社ベルポリエステルプロダクツとともに「廃プラスチック資源のバイオリサイクルの実現」で同事業に採択されました。廃PETを微生物由来の酵素で分解し、再生共重合PET樹脂を作る取組で、bitBiomeが専用酵素を開発します(発表、2025年8月)。
Gel Coat Biomaterialsは、東京大学の高井まどか教授が発見した「アメーバハイドロゲル」を基盤に、酵素などの生体分子を被覆して安定化するバイオマテリアル技術「Gel Coat」を開発しています。従来は−30℃での保存が必要だった酵素を、4℃で4週間安定に保存できるとしています。2026年4月にシリーズAで2億円を調達し(発表、2026年4月)、2026年1月には独占ライセンス提供を開始しました(発表、2026年1月)。