BMI(ブレイン・マシン・インターフェース)

Brain-machine interface (BMI)

脳とコンピュータの間で情報をやり取りし、機器の制御や脳への感覚入力を通じて、身体機能の一部を補完・回復・強化する技術。BCI(ブレイン・コンピュータ・インターフェース)とも呼ばれ、医療機器としての開発が進む。

詳細

概要

ブレイン・マシン・インターフェース(BMI)は、脳とコンピュータの間で情報をやり取りし、対象装置の制御や脳への感覚情報の入力を通じて、身体機能の一部を補完、回復または強化する技術です。厚生労働省の資料では「ブレインコンピュータインターフェース(BCI)」と表記され、「ブレインマシンインターフェースと呼ばれることもある」とされています。閉じ込め症候群のように、手足の動きや発話で意思を表せない患者の日常生活の支援や、高度な麻痺を持つ患者のリハビリテーションの促進などに役立つと考えられています。

仕組み

厚生労働省医薬局の評価指標(案、2021年4月)は、運動や意思伝達を補う植込み型の「出力型BCI」を対象に、システムを4つのユニットで説明しています。

  • 計測ユニット: 脳活動を計測する。体内に埋め込む植込み型と、全てが体外にある非植込み型に分かれる。植込み型には脳内刺入針電極型、硬膜下電極型、硬膜外電極型、血管内電極型などがある。
  • 解読ユニット: 脳信号から特徴を抽出し、機械学習などで運動意図などを読み取る。
  • 制御ユニット: 解読結果に基づき、制御対象を動かす信号を出す。
  • 制御対象ユニット: 最終的に患者に効果をもたらす装置。医療機器に限らず、汎用の装置も含まれうる。

日本医療研究開発機構(AMED)の事後評価報告書は、BMIを「脳の信号を人工知能などで解析し、ロボットなどの機器を思考だけで操作できる技術」と説明しています。体内埋込型は開発の難易度が高い一方で、精度の高い脳信号の計測ができるとされています。

制度と開発の動き

日本で医療機器としてのBCIの評価指標が最初にまとめられたのは、2010年12月の通知に付された「神経機能修飾装置に関する評価指標」の一項目です。米国ではFDAが2021年5月に、植込み型BCI機器の非臨床試験と臨床上の考慮事項に関するガイダンスを策定しています。厚生労働省の評価指標は法的な基準ではなく、製品開発の際に参考とする事項をまとめたものです。AMEDの報告書によれば、埋込型BMIの開発ガイダンスの策定が2024年8月から2026年3月にかけて進められ、最初の対象としてALS患者の治験が予定され、将来は脊髄損傷への拡大が見込まれています。

スタートアップの取り組み

  • LIFESCAPES: 慶應義塾大学発。BMI技術を用いた治療用の医療機器を開発し、脳卒中後の上肢運動麻痺のリハビリテーションを対象とする。2025年12月に厚生労働省の先駆的医療機器の指定を受け、2026年夏頃に医師主導治験を始める予定(発表、2026年6月)。
  • JiMED: ワイヤレス植込型のBMIシステムを医療機器として開発する。2025年にALS患者を対象とした企業治験を予定し、シリーズAで3.5億円を調達した(発表、2025年2月)。
  • Ruten: 侵襲型BMIを研究開発し、失われた身体機能の再建を目指す。国内の大学や医薬品開発業務受託機関との実験で性能と安全性を検証し、短期留置に限った院内臨床試験の計画を進める(発表、2023年12月)。

一次情報