CBAM(炭素国境調整措置)

Carbon Border Adjustment Mechanism (CBAM)

EUが域外からの輸入品に、域内の炭素価格に相当する負担を課す制度。鉄鋼、アルミニウムなどを対象に2026年1月に本格適用が始まり、輸出企業にも排出量データの提供が求められる。

詳細

概要

CBAM(Carbon Border Adjustment Mechanism、EU炭素国境調整メカニズム)は、EU域内の排出量取引制度(EU ETS)の炭素価格に相当する負担を、域外から輸入される対象品にも課す制度である。規制の緩い国への生産移転(カーボンリーケージ)を防ぎ、世界の排出削減とEU企業の競争力維持を図ることを目的とする。日本貿易振興機構(ジェトロ)の解説では、対象は鉄鋼、アルミニウム、セメント、肥料、水素、電力とされている。

仕組み・要点

2023年10月から2025年12月までが移行期間で、輸入者は四半期ごとに報告書を出すだけで、金銭負担はなかった。2026年1月1日からの本格適用では、輸入者が認可申告者の認可を取得し、輸入品の体化排出量に応じてCBAM証書を購入・納付する義務を負う。報告は年1回のCBAM申告書で行う。実排出量を使う場合は、モニタリングプランの策定と認定検証者による第三者検証が必要である。

2025年10月施行の簡素化規則により、電力・水素を除く対象品の年間輸入量が50トン以下の輸入者は義務の対象外となった(輸入者の約9割が対象外となる一方、体化排出量の約99%はカバーされる見込み)。デフォルト値には上乗せがあり、2026年10%、2027年20%、2028年30%と段階的に増える。証書の販売開始は2027年2月1日に延期され、2026年分の初回申告は2027年9月末までとなった。

市場・制度での位置づけ

法的な報告義務を負うのはEU域内の輸入者だが、EUに製品を輸出する日本企業も、製品ごとのCO2排出量や製造工場の位置情報などを輸入者から求められる。実排出量のデータを出せない場合はデフォルト値による報告となり、上乗せ分だけ輸入者のコストが増え、取引価格に影響し得る。このため、排出量の算定、工場データやCNコードの管理、第三者検証への備えが輸出企業の実務課題になっている。

スタートアップの取り組み

  • アスエネ株式会社は、LCA/CFP算定サービス「ASUENE LCA」に、CBAM対応に必要な情報を一元管理する機能を追加した。工場のCO2排出量、拠点情報、製品ごとのCFPデータ、CNコードを登録し、EUが定める報告様式(Excel形式)へ自動転記し、変更・確定の履歴も残す(発表、2026年9月)。
  • booost technologiesは、サステナビリティERPを提供する企業として、鉄鋼製品メーカー向けにCBAMの実データ報告対応のセミナーを共催している。モニタリング計画の作成、体化排出量の算定、トレーサビリティの確保、第三者検証への準備を扱う(発表、2026年9月)。

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