化合物半導体

Compound semiconductor

化合物半導体は、シリコン単体ではなく複数の元素を組み合わせた半導体。SiCやGaNなどはパワーデバイスや高周波デバイス、センサーに使われ、結晶品質の向上が課題となっている。

詳細

概要

化合物半導体は、シリコン(Si)のような単一元素ではなく、複数の元素を組み合わせて作る半導体です。内閣府・経済産業省の研究開発構想(令和5年10月)は、EV・再エネの普及や次世代情報通信網の実現に向けて、高出力で動作し高効率なパワーデバイス・高周波デバイスが求められる一方、Siは物性の限界から高耐圧化や低損失化に限界があるとしています。Siに替わるものとして期待されるのが、炭化ケイ素(SiC)や窒化ガリウム(GaN)などのワイドバンドギャップ半導体です。

仕組み・要点

  • 絶縁破壊強度が高く、デバイスの高耐圧化ができます。Siよりも損失を数百分の1〜数千分の1の水準まで低減できる可能性があるとされています。
  • 同構想は、SiCで産業機器や電鉄向けの1700〜3300V耐圧、EV・充電設備向けの650〜900V耐圧のデバイスが実用化しているとしています。GaNでは、Si基板上のGaN薄膜を使うGaN-on-Siが600V耐圧のACアダプタやサーバ電源などに、GaN-on-SiCが無線基地局の高周波デバイスに使われています。
  • 課題は結晶品質です。Si基板やSiC基板のような格子サイズの異なる異種基板上にGaN膜を形成するため、欠陥密度が高く、そりも生じます。同種のGaN基板上に作るGaN-on-GaNで品質を高める期待が示されています。

市場・制度での位置づけ

BEAM Technologiesの発表は、IMARC Groupの調査を引いて、世界の化合物半導体市場が2024年の約18兆円から2033年には約26兆円に拡大する見通しとしています。成長要因として、データセンター向け光通信デバイス、省電力電源、EV・自動運転向けのパワー半導体やセンサーを挙げています。

スタートアップの取り組み

  • 株式会社Gaianixxは、化合物半導体の結晶成長で生じる格子不整合を緩和する「多能性中間膜」を開発する東京大学発企業です。シリーズC 1stラウンドで20億円を調達し、累計は約38.5億円です。2社とデザインウィンを完了し、国内外の約40社から共同開発や評価の引き合いを受けています(発表、2026年3月)。
  • 株式会社BEAM Technologiesは、理化学研究所発で、AlGaN系の化合物半導体を扱います。日本低軌道社中、レゾナックなどと、微小重力環境での化合物半導体の製造に向けたMOUを締結し、2030年前後に打ち上げられる「日本モジュール」での製造を目指します(発表、2026年6月)。
  • ANSeeNは、化合物半導体を使った直接変換型X線センサの大面積化と、異種半導体を積層する3次元実装で量産技術を確立したとしています。シリーズCで5億円を調達しました(発表、2025年1月)。

一次情報