エクソソーム

Exosome

細胞が分泌する細胞外小胞の一種で、細胞間の情報伝達に関わるとされる。再生医療や抗老化研究への応用が期待される一方、クリニックでの自由診療での使用に安全面の指摘がある。

詳細

概要

エクソソームは、細胞が分泌する細胞外小胞(EVs:Extracellular Vesicles)の一種である。日本再生医療学会の提言では、細胞外小胞を「細胞が分泌する物質で、組織の再生を促す成長因子や細胞間の情報伝達物質を含んだエクソソームなどからなるもの」と説明している。エクソソームは細胞間のコミュニケーションで重要な役割を担うとされ、さまざまな疾患への応用が期待されている。

仕組み・要点

細胞外小胞は主に細胞から調製される。同学会は、再生医療などで使われる細胞加工物と似た成長因子などによる治療効果をねらうものである一方、細胞加工物と似たリスクも持つと整理している。交差汚染の管理が不十分な場合には、敗血症などの重い事故につながる可能性があるという。天然の細胞から採取するものだけでなく、修飾を加えたり薬や核酸を載せたりした改変型も登場しており、対象は再生にとどまらず、がん、免疫、感染などへ広がると予想されている。

市場・制度での位置づけ

提言(2023年11月10日)によると、ClinicalTrials.govに登録された細胞外小胞関連の臨床試験は2023年10月30日時点で93件で、うち第3相は1件である。日本では治療の多くが自由診療で行われ、再生医療等安全性確保法の対象になっていないため、実施件数の把握が難しい。同法が制定された時点では細胞外小胞による治療がほとんど知られておらず、規制対象に至らなかったという経緯も示されている。学会は、細胞断片として整理されていることなどから現時点では同法の対象外だが、感染症のリスクなどを考え、製造工程を含め将来的には何らかの規制下に置くことが望ましいとしている。あわせて、定義・効能・品質管理に基づくガイドライン作成のため、産学官の協力による研究班やワーキング・グループの構築が必要としている。

スタートアップの取り組み

  • 株式会社IDDKは、スペースシードホールディングスの子会社であるリジェネソームと、宇宙環境でのエクソソーム生産装置の共同研究に関する覚書(MOU)を結んだ(発表、2024年12月)。IDDKが宇宙環境でのエクソソームの実験・生産システムを開発し、リジェネソームがそれを使って実験を行い、医療技術を開発する役割分担である。微小重力や宇宙放射線の環境で細胞の挙動や老化の進み方が地上と異なる点に着目している。
  • リジェネソームは、スペースシードホールディングスの子会社として2024年7月に設立された東京都港区のバイオベンチャーで、エクソソームを分析し老化防止技術の開発を目指している。18か月以内に概念実証を行う計画とされる。

一次情報