便失禁
Fecal incontinence
詳細
概要
日本大腸肛門病学会は、便失禁を「普通便のコントロールがうまくいかない状態」と説明しています。便を出さずにためておこうとしても、肛門から漏れ出てしまう状態です。同学会は便失禁診療ガイドラインを2017年に発行し、2024年に「2024年版改訂第2版」として改訂しました。
原因
同学会の市民向け説明では、原因として次の五つが挙げられています。
- 加齢による肛門括約筋の衰え
- 出産時の会陰切開、痔の手術、事故などによる括約筋や神経の損傷
- 直腸脱や直腸内の腫瘍などの直腸・肛門の病気
- 直腸がんの手術後
- 糖尿病など内科の病気による肛門の筋肉の緩み
診断と治療
診断には、直腸指診、肛門内圧検査、直腸造影、超音波検査などが使われます。症状の程度は、漏れの頻度、パッドの使用頻度、生活への影響などを点数化して評価することもあります。
治療は、保存的治療と外科的治療に分かれます。保存的治療には、整腸剤や下剤などの薬、肛門周囲の筋肉を締める体操、器械で肛門の締まりを確認しながら行うバイオフィードバックがあります。外科的治療には、埋め込み式の装置で仙骨神経を刺激する仙骨神経刺激療法(2014年から国内で保険適用)や、括約筋を縫い縮める手術などがあります。同学会は、ほとんどの場合は保存的治療で一定の効果が得られるとしています。
スタートアップの取り組み
イノバセル株式会社は、オーストリアのインスブルック医科大学発の再生医療企業で、便失禁および尿失禁に対する細胞治療を手がけています。便失禁を対象とした自家骨格筋由来細胞(ICEF15)の第III相試験で、日本初の患者への投与が完了したと発表しました(発表、2023年12月)。また、切迫性便失禁をターゲット疾患とするICEF15の米国での市場展開について、EVERSANA Life Science Services, LLCとの契約を締結しました(発表、2026年7月)。
イノバセルも、切迫性便失禁向け再生医療等製品ICEF15の第III相日欧国際共同治験を進める企業として掲載されています。日本で初めての患者組入れを行ったと発表しています(発表、2023年12月)。