医師主導治験
Investigator-initiated clinical trial
医師または歯科医師が自ら計画して実施する治験。医薬品などの承認申請に使うデータを得るために行い、実施前に治験計画を厚生労働大臣へ届け出る必要があり、治験中の副作用等の報告も求められる。
詳細
概要
治験は、承認申請に添付する資料を得るために、薬物や機械器具、加工細胞などを実際に使って効果や副作用を確かめる臨床試験です(PMDA の説明)。多くは製薬企業などが依頼者として行いますが、医師または歯科医師が自ら治験を実施する場合を医師主導治験と呼びます。
仕組み・手続き
医薬品医療機器等法第80条の2は、治験の依頼をしようとする者または自ら治験を実施しようとする者に対し、あらかじめ厚生労働大臣へ治験の計画を届け出ることを求めています。対象の薬物等について初めて届出をした場合は、届出から30日を経過した後でなければ治験を依頼または実施できず、その間に大臣が保健衛生上の危害防止に必要な調査を行います。PMDA は治験計画の届出と、治験中に得られた副作用・不具合等の報告を受け付け、状況を厚生労働省に報告しています。
産業での位置づけ
大学病院などの医師が実施の主体となるため、スタートアップは治験薬や治験製品の提供者として関わることがあります。以下の発表では、企業が治験薬の提供や供給、品質管理を担い、医療機関の医師が治験責任医師や治験調整医師を務める形が見られます。
スタートアップの取り組み
- アルファフュージョン株式会社は、去勢抵抗性前立腺がんを対象に、アスタチン211標識の PSMA 標的薬 PSW-1025 の第I相医師主導治験を大阪大学医学部附属病院で行うと発表しています。予定症例数は15例、期間は2024年6月〜2027年3月(予定)です(発表、2024年5月)。
- Neusignal Therapeutics株式会社は、アルツハイマー型認知症治療薬として開発中の NTX-083 について、東京大学医学部附属病院で健康成人を対象とする医師主導治験が始まったと発表しています(発表、2025年2月)。
- リィエイルは、難治性の虚血性下肢潰瘍を対象とする RE-01 細胞治療の第II相医師主導治験「PHOENIX-RE Trial」を開始しました。4施設で実施し、同社は治験製品提供者として製造委託先の監督、品質管理、出荷判定、輸送を担当します(発表、2026年9月)。
- ジェイファーマ株式会社は、LAT1阻害剤ナンブランラトの胆道がんに対する医師主導臨床試験が jRCT に登録されたと発表しています。代表施設はがん研究会有明病院です(発表、2026年5月)。