ラベルフリー細胞解析
Label-free cell analysis
蛍光色素や抗体などの標識を使わず、細胞の形態などの情報から細胞を解析・分離する手法。細胞への影響を抑え、既存のマーカーで見えない細胞も捉えられる。
詳細
概要
ラベルフリー細胞解析は、特定の分子に目印(ラベル)をつけずに、細胞そのものの情報をもとに解析や分離を行う手法です。従来の細胞の分離は、抗体などで細胞を染色して目印にする方法が中心でした。シンクサイトの発表では、現状の特定細胞の分離は細胞の状態に影響する侵襲的な方法に頼っているとされ、ラベルフリーの手法はその代替をめざすものと位置づけられています。
仕組み・要点
シンクサイトの技術は、特殊な構造化照明で細胞を照射し、構造情報を短時間で一次元データとして取得するものです。機械学習モデルがそのデータからリアルタイムで細胞を識別し、細胞へのダメージを抑えたマイクロ流体デバイスで分離します(日立との共同開発の発表による)。人が見て判別できる画像に再構成する必要がないため、高速処理と無染色での分離が可能になるとしています。
同社の装置は、特定分子を標識せずに、個々の細胞の形態情報をもとに目的の細胞集団を分離できるとされます。また、既存のマーカーでは検出できない細胞の表現型を見つけるツールになるとしています。
産業での位置づけ
発表では、がんを対象とした細胞治療に求められる「疲弊していない活性化T細胞」のような特定の細胞集団の分離が対象例に挙げられています。再生・細胞医薬品の製造では、品質の高い細胞を再現性よく選別して低コストで大量に供給することが求められます。染色が不要になれば、選別後の細胞をそのまま次の工程に使いやすくなる点が利点です。
スタートアップの取り組み
- シンクサイトは、ゴーストサイトメトリー技術を搭載したラベルフリー細胞解析・ソーティング装置について、プレミアアーリーアクセスプログラムを発表しました。対象は製薬企業とアカデミアの研究機関で、2023年に予定する製品の上市に先立って装置を先行して使えるようにし、参加機関のニーズに合わせた応用を共同で開発します(発表、2022年12月)。
- シンクサイト株式会社も同じプログラムを発表しています(発表、2022年12月)。また日立製作所と、細胞を染色せずに詳細かつ高速に分析し、目的の細胞だけを高精度に分離する技術を用いた分析・分離システムの共同開発を進めています(発表、2020年7月)。