微生物発酵
Microbial fermentation
微生物の物質生産能力を使い、糖などの原料から目的の物質(タンパク質、化合物など)をつくる製造方法。バイオものづくりの中核技術で、培養のスケールアップが課題とされる。
詳細
概要
微生物発酵は、微生物がもつ物質生産の能力を使って、糖などの原料から目的の物質をつくる製造方法である。NEDOの「バイオものづくり革命推進事業」の説明では、バイオものづくりを、遺伝子改変などで微生物がもともと持つ物質生産能力を高めたり、新たな物質を作らせたり、原料を酵素で分解して目的物質を得たりする技術とし、化石資源を使う従来の製造を置き換える持続可能なものづくりと位置づけている。
仕組み・要点
NEDOの同事業は、未利用資源の収集と原料化、産業用微生物の開発・育種、微生物による目的物質の製造(大量培養などのスケールアップと生産実証)、培地からの分離・精製・加工、LCAなどの社会実装の評価という流れで研究開発項目を整理している。微生物の改良にはバイオとデジタル技術を組み合わせた改変プラットフォームの高度化も含まれる。製造コストについては、現行製品の1.2倍以下まで下げることが開発目標として示されている。事業期間は2022年度から2032年度の予定で、テーマごとにステージゲート審査がある。
市場・制度での位置づけ
NEDOは2024年7月22日に第2回公募で8件の研究開発テーマを採択した。ラボで高い生産量が出ても商業規模で再現できない問題は「スケールアップの谷」と呼ばれ、Spiberは、世界的にパイロットから商業規模までの受託発酵の能力が逼迫していると述べている。用途は、素材、研究用試薬、産業用酵素、診断原料、食品素材、医薬・農薬の原料、香料、サプリメントなど幅広い。
スタートアップの取り組み
- Spiber株式会社は、植物由来の糖を主原料に微生物発酵でつくる構造タンパク質素材「Brewed Protein」を手がける。自社の量産で培った発酵生産の技術と設備を社外に開放する受託事業「SPIBER BIOFOUNDRY」を発表し、1Lの培養槽から100kL超の商業設備までの検討と製造を一貫して行うとしている(発表、2026年10月)。2025年7月にはイタリアの繊維メーカー2社とのパートナーシップも発表した(発表)。
- ファーメランタ株式会社は、合成生物学で植物由来などの希少な有用成分を大腸菌などの微生物で発酵生産する。大腸菌に20以上の外来遺伝子を導入する多段階の遺伝子導入技術を中核とし、シリーズAで20億円を調達して累計調達額は48億円となった(発表、2025年8月)。NEDOのDTSU事業(PCAフェーズ)の採択先としても公表されている(NEDO、2025年8月)。