マイクロサージャリー
Microsurgery
詳細
概要
マイクロサージャリー(顕微鏡下手術)は、顕微鏡を使って、直径1mm未満の血管や神経を手作業で縫い合わせたり、腫瘍を摘出したりする手術技術です。F.MED株式会社の発表によると、リンパ浮腫の外科治療、欠損部位への組織移植、詰まりそうな血管を迂回させるバイパス作成などに使われ、患者のQOLや予後を大きく改善しうるとされています。
要点と課題
扱う対象が極めて細いため、手の震えを抑えながら繊細に器具を操作する技術の習得が難しく、実施できる医師が限られています。習得には年単位の訓練が必要とされ、同社は、既存の手術支援ロボットもこの水準の細かい作業には対応できていないと説明しています。
この課題に対し、術者の動きを縮小し、手振れを抑えて器具に伝える支援ロボットの開発が進んでいます。F.MEDのロボットは、リニアモーターで駆動する微細作業用のマニピュレーター(操作部)を搭載しています。医師が操作すると、その動きを例えば1/20に縮小し、生理的な手の震えを抑えて再現します。これにより極微細な器具操作をしやすくし、手術成績や安全性の向上、訓練期間の大幅な短縮を目指しています。
対象となる患者と市場の文脈
同社の発表では、リンパ浮腫は世界に約2.5億人の患者がいるとされ、マイクロサージャリーの対象の一例として挙げられています。ロボットは現在開発中で、医療機器としての承認取得を目指す段階です。将来的には、遠隔医療やAIによる術者の判断支援も計画しているとしています。
医療機器の領域では、スタートアップが国際的なアクセラレータープログラムや表彰を通じて評価を受ける例があります。たとえば、世界最大級の医療機器・ヘルスケア分野のアクセラレーターとされるMedTech Innovatorのアジア太平洋版は、シンガポールを拠点に、スタートアップと投資家、専門家をつなぎ、事業化と成長を支援しています。
スタートアップの取り組み
F.MED株式会社は、福岡市に本社を置き、2021年3月に設立された企業で、リニアモーターを用いたマイクロサージャリー支援ロボットを開発しています。2025年2月にドバイで開かれたMedTech World Dubai 2025でMedTech Startup of the Yearを受賞し(発表、2025年3月)、MedTech Innovator Asia Pacific 2025のアクセラレーションプログラムでは、4社のファイナリストの一社に選ばれました(発表、2025年10月)。同発表では、応募企業は550社超、アクセラレーションプログラムの期間は4か月と紹介されています。
クオリィは、マイクロサージャリー(微小外科手術)を支援するロボットを開発する企業で、ソニーグループの医療ロボット技術の一部を引き継いでいます。