ムーンショット型研究開発事業

Moonshot R&D Program

ムーンショット型研究開発事業は、国が野心的な目標を設定し、挑戦的な研究開発を最長10年間支援する制度です。目標は10個あり、目標6は誤り耐性型汎用量子コンピュータの実現です。

詳細

概要

ムーンショット型研究開発制度は、超高齢化社会や地球温暖化など重要な社会課題に対し、人々を魅了する野心的な目標(ムーンショット目標)を国が設定し、挑戦的な研究を推進する制度です。内閣府の資料によると、総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)と健康・医療戦略本部が目標を決定し、産学官で構成する戦略推進会議を設置して、関係府省や研究推進法人が連携します。

仕組み

プロジェクトを統括するプログラムディレクター(PD)の下に、国内外のトップ研究者がプロジェクトマネージャー(PM)として集まります。ポートフォリオを構築し、ステージゲートで柔軟に見直し、スピンアウトも推奨される点が特徴で、「失敗を許容」しながら挑戦的な研究開発を進めるとされています。予算は、2018年度補正予算で1,000億円、2019年度補正予算で150億円を計上して基金を造成し、最長10年間支援する仕組みです。研究は原則5年、最大10年で、研究推進法人はJST、NEDO、BRAIN、AMEDの4つです。

JSTのサイトによると、目標は現在10個(目標1〜10)あり、医療・介護、ロボット、環境・資源、食料、量子コンピュータ、防災、こころの健康、フュージョンエネルギーなど幅広い分野にわたります。2050年までの実現を掲げる目標が多く、目標7のみ2040年が期限です。

目標6(量子コンピュータ)

目標6は「2050年までに、経済・産業・安全保障を飛躍的に発展させる誤り耐性型汎用量子コンピュータを実現」で、JSTが担当します。2025年10月6日付のJSTの掲載では、中性原子、シリコン、イオントラップ、光、超伝導など複数の方式でPM採択者9名が示され、理論・ソフトウェア、誤り訂正システム、アプリケーションの研究も含まれます。第二期は2026〜2030年度です。

スタートアップの取り組み

OptQC株式会社は、東京大学の古澤研究室の研究成果をもとに光量子コンピュータを開発する企業で、目標6の研究開発課題「誤り耐性型全光学式光量子コンピュータの研究開発」(PMは同社取締役の古澤明)に参画しました(発表、2026年5月)。電気信号を介さず光のまま処理する「全光学式フィードフォワード」の確立をめざし、将来目標としてクロック周波数10THz、100万入力モードを挙げています。

Qubitcoreは、OIST発のスタートアップで、第二期プロジェクト「スケーラブルな機能集積型イオントラップと多重光接続で実現する誤り耐性量子コンピュータ」に参画しました(発表、2026年5月)。イオントラップ量子コンピュータシステムの開発と量子誤り訂正実験を担当し、2030年までに100量子ビット規模の量子コンピュータの構築を計画しています。

一次情報