量子コンピュータ
Quantum computing
量子力学の性質を利用して計算を行うコンピュータ。量子ビットを単位とし、従来型(古典)コンピュータと組み合わせて使う「ハイブリッド」での活用が、国の戦略でも想定されている。
詳細
概要
量子コンピュータは、量子力学の性質を計算に利用するコンピュータです。従来のコンピュータが扱うビットに対し、量子コンピュータは「量子ビット」を計算の単位とします。方式には超伝導、イオントラップ、中性原子などがあり、スタートアップの取り組みも方式やソフトウェア層ごとに分かれています。
仕組み・要点
国産超伝導量子コンピュータ初号機は、理化学研究所、産業技術総合研究所、情報通信研究機構、大阪大学、富士通、日本電信電話の共同研究グループが整備し、2023年3月27日に量子計算クラウドサービスとして公開されました。64量子ビットで、4量子ビットの基本ユニットを16個並べた2次元集積回路と、垂直配線パッケージ方式を採っています。利用者はクラウドからジョブを送って結果を受け取る形で、当面は理研との共同研究契約に基づく非商用の研究開発用途です。
量子コンピュータの利用は、実機だけでなく、アルゴリズムやソフトウェア開発キット、最適化問題への適用など、ソフトウェア層にも広がっています。
国の戦略と位置づけ
内閣府の「量子未来社会ビジョン」(2022年4月)は、量子技術を従来型技術と融合(ハイブリッド)させて社会に取り込む方針を示し、2030年に目指す状況として、国内の量子技術利用者1,000万人、量子技術による生産額50兆円規模、量子ユニコーンベンチャー企業の創出を挙げています。そのため、量子コンピュータの利用環境(テストベッド)の整備も掲げられています。
スタートアップの取り組み
- 株式会社JIJは数理最適化と量子コンピューティングを組み合わせたソフトウェアを開発し、Quantinuum Startup Partner Programに参画しました(発表、2026年7月)。ゲート型量子コンピュータ向けミドルウェアの開発なども資金の使途に挙げています(発表、2026年8月)。
- 株式会社Quanmaticは量子計算とAI、数理最適化を組み合わせたソリューションを提供し、ロームと半導体製造工程の効率改善に取り組みました(発表、2025年7月)。ゲート式量子コンピュータ向けアルゴリズムの研究開発も本格化しています(発表、2024年11月)。
- QunaSysの量子ソフトウェア開発キット「QURI SDK Enterprise」は、理化学研究所の「JHPC-quantum」プロジェクトで採用されました(発表、2026年9月)。
- 株式会社Yaqumoは中性原子方式の量子コンピュータハードウェアを開発し、富士通と中性原子型実機によるアーキテクチャ・基本ソフトウェアの検証を始めました(発表、2026年9月)。
- 株式会社Quemixは量子コンピュータのアルゴリズムと材料計算を研究開発しています。
- 株式会社Blocq, Inc.は、NEDOのディープテック・スタートアップ支援事業に採択され、量子計算機を用いた暗号解析ソリューションの研究開発に取り組んでいます。