シングルセルゲノム解析
Single-cell genomics
詳細
概要
シングルセルゲノム解析は、細胞を1つずつ分けて、その細胞のゲノム情報を読み取る手法です。bitBiome株式会社の発表では、微生物を1細胞単位で解析して全ゲノム情報を高精度に読み取る技術「bit-MAP」を、世界で唯一の微生物対象のシングルセルゲノム解析技術と紹介しています。
仕組みと特徴
環境中の微生物の多くは、研究室で培養することが難しいとされています。従来のメタゲノム解析は、試料中の微生物の遺伝子を混ぜて読み取るため全体像は得られますが、個々の微生物のゲノムを区別して取り出すことは困難です。bitBiomeの説明では、シングルセル解析は難培養微生物や未知の微生物も対象にでき、メタゲノム解析で得られる全体像を補って個々の微生物の理解を深めます。従来必要だった単離・培養や、複雑なシーケンスデータの計算処理を省ける点も特徴とされています。
産業での位置づけ
解析で得たゲノムを蓄積してデータベース化すると、酵素や化合物の生合成に関わる遺伝子を探索する資源になります。bitBiomeは腸内細菌や土壌細菌などの解析で遺伝子資源データベースを構築し、2021年時点で6万を超える微生物ゲノムを蓄積し、2023年までに20万超を計画していました。現在、同社の微生物遺伝子データベース「bit-GEM」は25億超の配列を含みます(2026年2月時点)。
2021年6月には、bitBiomeとゲノム構築技術を持つLogomixが連携を発表しました。bitBiomeのゲノムデータベースとLogomixのゲノム改変技術を組み合わせ、ゲノムデータの探索から高機能細胞の開発まで一貫したサービスを目指すものです。難培養細菌からの新規化合物の生合成遺伝子マイニング、持続可能な農業のための高機能土壌細菌叢の開発、プラスチック分解菌株の開発など、6つのユースケースを軸にするとしています。
スタートアップの取り組み
bitBiome株式会社は、2018年11月に設立された早稲田大学発のバイオテックベンチャーです。2020年8月に7億円のシリーズB調達を実施し、累計調達額は10.5億円、1か月あたりの最大解析可能数を2,000ゲノムから20,000ゲノム超に拡大するとしました(発表、2020年8月)。また、2020年5月12日のイルミナ株式会社主催のオンラインセミナーで、bit-MAPに関する講演を行うと発表しています(発表、2020年5月)。
株式会社Logomixは、2019年設立で、大規模ゲノム構築プラットフォーム「Geno-Writing」を開発し、細胞治療、創薬、バイオものづくりに応用しています。bitBiomeとの連携では、微生物ゲノムデータベースを起点としたシームレスな合成生物学サービスの提供を目指します(発表、2021年6月)。