定位放射線治療(SBRT)
Stereotactic body radiotherapy (SBRT)
病巣に多方向から放射線を集中させ、周囲の正常組織への線量を抑える「ピンポイント照射」の放射線治療。体幹部のがんではSBRTと呼ばれる。
詳細
概要
定位放射線治療は、病巣に対して多方向から放射線を集中させる方法で、「ピンポイント照射」とも呼ばれます。通常の放射線治療と比べて、周囲の正常組織が受ける線量を極力減らせるとされています(アイラトと北海道大学病院の共同研究の発表による)。体幹部(肺など)の病巣に行うものはSBRTと呼ばれます。アイラトの発表は、SBRTを、がんに大線量を集中して照射することで身体への負担を抑えつつ手術に匹敵する治療効果をもたらす手法として紹介しています。
仕組み・要点
放射線治療は、放射線ががん細胞内のDNAを切断してダメージを与える仕組みです(国立がん研究センター)。定位放射線治療では、病巣の位置を精密に決めて集中的に照射するため、治療前の計画づくりが重要です。アイラトと北海道大学病院の共同研究は、放射線治療計画の線量分布をAIで解析し、CT画像上で定位放射線治療の治療計画を自動で作成する技術を開発するものです。対象は転移性脳腫瘍で、単一アイソセンタVMATの開発に伴い症例数は増えているものの、客観的で適切な適応判断はまだ試行錯誤の段階だと、同病院の教授が述べています。
産業・学術での位置づけ
米国放射線腫瘍学会誌『International Journal of Radiation Oncology Biology Physics』の2026年4月1日発行号は、SBRTの起源をたどるインタビュー特集を掲載し、アイラトと共同でAIソフトを開発する山梨大学の大西洋教授が、SBRTの歴史を築いた3人のパイオニアの1人として取り上げられました。
スタートアップの取り組み
- アイラト株式会社は、2023年に山梨県の実証実験サポート事業「TRY!YAMANASHI!」に採択されたことを契機に、山梨大学と協同開発を始めました。IMRT(強度変調放射線治療)向けAI開発のノウハウとSBRTのデータを組み合わせた「山梨大発肺がんモデル」が完成し、同社の放射線治療計画支援ソフトウェアに搭載されています(発表、2026年4月)。北海道大学病院とは転移性脳腫瘍の定位放射線治療の自動計画で共同研究を開始しました(発表、2025年6月)。
- アイラトも同じ発表を行っています(発表、2026年4月)。