SIer(システムインテグレーター)

System integrator (SIer)

顧客の用途に合わせて機器・ソフトウェア・センサーなど複数の要素を組み合わせ、実際の工程で動くシステムとして設計・構築・納入する事業者。製造現場ではロボットやレーザー加工機の導入を担う。

詳細

概要

SIer(システムインテグレーター)は、機器、ソフトウェア、センサーといった複数の要素を、顧客の用途や既存の設備に合わせて組み合わせ、使えるシステムとして設計・構築・納入する事業者を指す。情報システムの分野で使われてきた呼び方だが、製造業では、ロボットやレーザー加工機などの装置を生産ラインの工程に組み込む役割を担う事業者にも使われる。ロボットメーカーや部品メーカーが提供する要素技術を、対象物や作業内容に合わせて実際の現場で動く形にまとめることが、SIerの役割である。

仕組み・要点

関連する発表では、SIerの仕事は要件の整理から試作、量産への立ち上げ、導入後の運用までの工程にまたがる。Quantecは、レーザー加工の要件定義から試作、量産立ち上げまでを支援するSIerとして、加工内容から逆算して波長・出力・加工エリアを定める「プロセス起点」の考え方を打ち出している。ゼロからのフルオーダーではなく、既存のパッケージ製品にSI機能を組み合わせて納入する点を特徴として説明している。

メーカー側からSIerとの連携を進める動きもある。FingerVisionは2025年1月、SIer向けのパートナーシップ・プログラムを開始した。営業案件の共有や協働マーケティングに加え、触覚ハンドを使った実証(PoC)からシステム導入までを段階ごとに連携する内容で、対象業界として自動車、電気機器、素材、半導体、物流、医療、食品を挙げている。開始時点で10社を超えるSIerや装置・機械メーカーが加盟したとしている。

市場・制度での位置づけ

ロボットの導入が進まない領域は「ロングテール市場」と呼ばれ、導入コストと技術的な難しさが壁になっているとされる。NEDOの「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業/ロボティクス分野におけるソフトウェア開発基盤構築」では、川崎重工業、NTTビジネスソリューションズ、ダイヘン、FingerVision、安川電機、ヤマハ発動機、ugoの7社による「SI効率化と多彩なロボットシステムの創出を実現する共創基盤開発」が採択された(2025年8月発表)。ロボットの機種や用途を問わず使える共創基盤と、関係者が情報を共有し役割分担できるエコシステムの構築を目指し、研究開発期間は2025〜2027年度の予定である。工作機械製造での自動化、ピック・アンド・プレース、食品工場の弁当詰めなどで実証するとしている。システムインテグレーションの効率が、ロボット活用の広がりを左右する課題として扱われていることがわかる。

スタートアップの取り組み

  • 株式会社FingerVisionは、視触覚センサーを備えたロボットハンドを開発し、SIer向けパートナーシップ・プログラムを運営している(発表、2025年1月)。NEDOの共創基盤開発にも参加している(発表、2025年8月)。
  • Quantecは、レーザープロセスを専門とするSIerとして、大面積加工向けのレーザーマーカー「PICTURA」を軸に、既存ラインへの組み込みや装置化までを手がける(発表、2026年5月)。

一次情報