VR(仮想現実)
Virtual reality (VR)
ゴーグルなどを使い、現実とは別の空間にいるような体験をさせる技術。エンターテインメントのほか、医療機器やスポーツの測定にも使われている。医療ではプログラム医療機器としての承認を目指す開発が進む。
詳細
概要
VR(Virtual Reality、仮想現実)は、VRゴーグルなどの装置で視界を覆い、現実とは別の空間にいるような体験をさせる技術です。映像や音による没入感があることが特徴で、娯楽、施設の展示、医療、スポーツなどで使われています。本稿は、スタートアップの発表で確認できる使われ方を整理したものです。
使われ方の例
- 医療(治療): BiPSEEは、うつ病向けのVRデジタル療法(VRx)を開発しています。メタ認知療法や反すう焦点化認知行動療法に基づく8週間のプログラムで、VRとスマホアプリを併用し、没入感や第三者視点の体験を通じて感情や行動との心理的距離を取ることを促します。InnoJinは、子どもがVRゴーグルを着けてけん玉、卓球、テニスなどのゲームで遊ぶことで訓練する、小児弱視向けのプログラム医療機器(未承認)を開発しています。
- 測定: ニューラルポートは、視線計測型のVRで視線の動きと瞳孔の反応を約1分測り、中枢性疲労と自律神経系疲労を数値化する「ZEN EYE Pro」を提供しています。
- 娯楽・展示: STYLYが関わる「Immersive Zero」は、VRゴーグルで体験する映像作品を劇場で上映する取り組みです。
制度での扱い
治療用のVRはソフトウェアによる医療機器(SaMD)にあたります。BiPSEEの発表では、厚生労働省の「プログラム医療機器に係る優先的な審査等の対象品目」に同社のVRうつ病治療システム(仮称)が指定され、あわせて第二種医療機器製造販売業の許可を取得したとされています。この優先審査の取り組みは2022年度から試行的に行われています。承認を得るには臨床試験や治験が必要で、BiPSEEは高知大学医学部附属病院と特定臨床研究(ランダム化比較試験)を実施し、治験の準備を進めるとしています。
スタートアップの取り組み
- BiPSEEは、うつ病向けVRデジタル療法の特定臨床研究を完了し、治験準備を始めたと発表しています(発表、2025年6月)。優先審査の指定については別の発表(2024年4月)があります。
- InnoJinは、VRを用いた小児弱視訓練用プログラム医療機器の有効性を評価する特定臨床研究のプロトコール論文を公開しました(発表、2026年2月)。
- STYLYは、空間レイヤープラットフォーム「STYLY」を提供し、VR作品「Immersive Zero」が劇場での上映を始めました。先行試写では回答者の100%がメンバーが目の前にいるような近さを感じたと答えたとしています(発表、2026年9月)。
- ニューラルポートは、VR脳疲労測定システム「ZEN EYE Pro」をHonda硬式野球部が2026年シーズンに利用する契約を結びました(発表、2026年4月)。
効果や満足度の数値は各社の発表に基づきます。